音と楽器

音と楽器 (波動と聴覚の基礎知識)/現代の科学//アーサー・H.ベナード著/河出書房新社

1960年出版の古い本だが音や楽器について音響物理的な観点から初心者に分かるように説明している本はこの本位なので紹介する.
同時に新たに自分が書くとすればどう書くかも書いてみる.


まず振動現象の説明

レコードプレイヤーを使って位相の概念を説明している.
ここまでやれば振動に Sin を使う手前まで来ているのだが数学の使用は避けている.
だからかえって説明が回りくどく分かりにくくなっている.私なら簡単な数学は使う




これと同様な実験をやったことがある.45 回転のレコードに同期する振り子の長さが約 45 cmであることを発見した!!



ターンテーブルの回転数を微調整すると振り子の振幅が変わる.以下はその応答曲線



この現象は音だけでなく,電気回路や大気の振動,ある物質に光を当てた時の反射や共鳴それに素粒子も同じような振る舞いをする!
科学の本からこの種の現象を見つけ出すのは簡単だ.TVやゲルマニウムラジオ等の無線機もこの現象 を利用している.
このような話をしてゲルマラジオを作ったりスピーカー箱などの箱鳴りの実験をやってもらえれば面白いだろう.

筒やポット,袋を使って耳の説明をしている.
音楽家やオーディオマニアは耳に無関心な人が多いから耳や聴覚について説明しておくと良いだろう.





モードやうなり

振動の話のお約束としてモードの説明をしている.弦楽器の基礎だが,太鼓やなどの分割振動の説明が無いのが残念だ.
今ならカップ麺の容器にサランラップを張ってボイスコイルを取り付けてスピーカーを作りサランラップの上に細かい砂などをまけば簡単に分割振動の実験が出来る.その写真を載せて読者に実験をしてもらう.分割振動やモードの説明には実際の音を CD に入れて付録にすればよい.




当然ながら,うなりの説明もある.音叉を2つ用意し同時に鳴らせて確認できる事を書けば良い.
最近ならその音を付録の CD に入れる.



スペクトル

スペクトルも簡単なグラフで説明している.今ならフリーのスペアナソフトがあるのでそれを使って実験できる.




後は弦楽器や管楽器など各種楽器の説明がある.これも今なら実際の音を CD に入れて説明できる.


簡単な実験

著者が行った簡単な実験を紹介しておこう.
長さ約 33 インチ,太さ3/4 インチの鉄パイプを用意する.このパイプの一端を閉じた最低モードは理論では約 100Hz
第二,第三,第四 モードは約 300,500,700Hz.
(これらを求めるのは音響物理入門の好い問題でこれが分ると好きな長さのパイプで実験できる)
鉄パイプをラッパのように吹くとほぼ理論通りの周波数で振動するが,それ以外に 125,150,165,175,225,233,250Hz の音が出る.
何故 (簡単な) 理論以外の音が出るかと言うのは音響物理の研究課題だ.

自作楽器

これが著者の趣味であり,こだわりなのだが,かなり高度な自作楽器の説明がある.
この説明だけで作れないので難しい本と受け取られる恐れがあるから思い切って省略してその分基本的なことの説明にページを使った
方が良いだろう. どうしても楽器の自作にコダワリたければ紙筒などを使った簡単な楽器を紹介すれば良い.




自分なりの工夫や発見ができ るように いろいろまとめてINDEX