音響物理学の思い出
学生の頃物理を勉強していた.子どもの頃からオーヲタだった私は音響物理を専攻してもいいと思っていた.しかし私のいた物理学科にはそんな講義は ないので一人で専門書をショボショボ読んでいた. ある時音響物理のオーソリティが来て夏休みに集中講義してくれる事になった. 私は喜び勇んで出席した.(毎年夏になるとこのことを思い出す) で,出席してみると講義の内容は大体専門書の内容通りでどうと言うことは無い. しかしある時その先生は「この部屋は初めて来たので良く分からないが,この部屋 の音響特性は****.上に反射板が取り付けられているから****となるだろう」 なんて言っていた.後で測定するとほぼその通りだった.私はその先生の耳の 良さに感嘆した. 私はその時思ったよ.音響物理の理論的な勉強は努力すればなんとかなるだろう. しかし耳の良さはどうもしようがない.才能という言葉の重みが分かった気がした. で音響物理は止めにした.今から思ってもオーディオは趣味にしておいて良かった と思うよ. 音響物理の続き. '80年代に,Scientific Americanだったかの雑誌にバイオリンの名機ストラディバ リウスを何台も分解してその秘密を探るなんて研究が載っていた.何台もといっ てもその中には壊れているのを含めてだが,私はその研究の豪勢さに目を見張 ったのを思い出す. 肝心の研究の内容はよく覚えていないが,バイオリンに使っているニスもその音質 に影響しているというような内容があったと思う. 改めて音響物理なんてやらなくて良かったと思ったね.私がその研究をやれば ストラディバリウスをただ,いじり回して重さがどうのとかいうようなショーモナイ 結果しか出せなかったと思う. (アンプの評論のようにスピード感があるバイオリンだなんて事を書いたりして!) やっぱ一流の仕事をしようとすれば努力は無論だが才能が必要だよ. NHKの思い出上の音響物理の思い出と同じ頃の話なのでここに書く.
学生時代東北に無銭旅行した時ある町でNHKの建物があったので見学はタダだろうと 見学を申し出ると局の人は「今放送していないので自由に見学して下さい.ツマミ等い じられると困りますが」と言われたので色々な部屋に入って見学した.機器などは放送時 そのままの状態だったので面白かった. 見学が終わってお礼に行った時「FMのアンテナや受信機を作って苦労してFMを聴いて います」と言ったら局の人は「NHKはそんな人が欲しいのです.うちの局は技術の人を募集 していますから,うちに来ませんか? 何なら書類持ってきましょうか」なんて言われたが, 東北で働く気が無かったのでお断りした.しかし見学の件にしろおおらかな組織は気持 ちいいなと思った.組織にしろ人にしろ大らかさが宝でクソなのは反対の狭量だと思った のであった. リンク
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