トランジスターの発明

トランジスターは1948年6月30日にベル研究所で発明された.その影響を考えるとトランジスターは字や印刷などに並ぶ大発明だ.
1930年代中頃ベル研究所の電子管部長のケリーが若い物理学者のショックレーに

「10年,20年後,私達の国アメリカが求めるものは何だろうか? それを考えたことがあるか」
「それは2人のアメリカ市民が,この広い国のどこにいようともまるで向い合っているように,明瞭な会話を交わせる,そういう通信システムだ.そのネットワークを作るには,真空管は役に立たない」

として結晶を使った増幅器の開発を依頼したのが発端だ.そして失敗の毎日が10年位続いた!!

当時は二極管に相当する鉱石検波器があったから中に真空管のグリッドに相当する物を入れれば増幅器が出来るだろうと考えて試作を繰り返したがうまくいかなかった.その理由は物質に関する理解が足りないかではないかと考え始めてからも試行錯誤が続いた.

トランジスターを発明した3人.左からバーディン,ショックレー,ブラッテン


トランジスター第1号


発明された後も苦労は続き,例えばトランジスターのベースの厚さを1um以下にするだけでも莫大な研究費,労力,知力を使った.

今ではそんなトランジスターが1つ10円位で買える.今や10万円以下のパソコンにもトランジスターが1000億個位入っているからトランジスター1個当たりの値段は0に近い.

トランジスターを自作してみようと思った話

LCRに真空管は作ったがトランジスターはまだだったので作ってみようと思った.半導体の専門家に相談してアチコチの実験室から借りてきたあり合わせの装置でダイオードから作る事にした.プアだからね.

そんな相談を半導体の専門家とやっていたとき前にダイオードの10D1のV-I特性を測ったら理論(理想)がらずいぶんズレていたのを思い出したので「せめて10D1位の特性が得られたら良いじゃん」と言ったら半導体の専門家は「とんでもない.あんなダイオードを作ろうとすればとんでもないお金がかかります」 なんて言った.
考えてみれば当然であんなに小さなPN接合で1Aも整流できるのだから凄いもんだ.

トランジスターを作る話は異動などで沙汰闇になってしまったが,何気なく使っている半導体でも凄い技術なんだと半導体技術の凄さを垣間見た思い出だ.

トランジスター(TR)をバラして見る

小さな塊がSiで,添加されたAsやIn等でエネルギー準位が決まって…と本に書かれている事が目の前にある.
TRの《実物》を見た人は少ないだろうからお勧めだ.

2SCC1815等はニッパーで潰せる.うまくやれば小さな塊に繋がった超細い電線が見える.(大抵は切れてしまうが残骸は見える)放熱を考慮して構造を 作っているのが分かる.

うまくTR実体を壊さずにカバーだけ取りC,Eに電圧をかけて光を当てるとフォトTRになる.
金属ケースのはニッパーでうまく千切るとTR本体は無傷で残る.これでフォトTRにした.
モールドケースの2SCC1815等は潰すしかない.
電極からチップへの細い電線を残そうと何十個ものTRを犠牲にした(笑)

トランジスターに関する理解のために

ショックレーはその著書の中で‥‥‥‥と彼の半導体物理学を引用しようと思ったが図書館に行って内容を確認するのがメンドウになったのでトランジスター理解のための要点やキーワードを書いておきます.

  • 原子の構造と周期律表(物質は原子で出来ている!)
  • 鉄や銅等の金属とガラス等の絶縁体では伝導率が10の何十乗も違う.この事と原子の構造の関係
  • 導体と絶縁体の中間に半導体があってこの理解がトランジスター理解につながる.それには
  • 電子,ホール
  • 充満帯,禁止帯,伝導帯
  • エネルギーバンド (図)
  • アクセプター (レベル),ドナー (レベル),(できればフェルミレベル)
  • いよいよPN接合:これでダイオードの整流,発光や太陽電池が理解できる
  • PNP,NPN接合としてのトランジスター:ようやくたどり着いた!!

以上をキチンと理解すれば半導体素子のV-I特性を見てエネルギーバンド図が思い浮かべる事が出来るのでアナタにとってエレクトロニクスは単なる部品のハンダ付け以上のものになるはずだ.


トランジスターなど半導体デバイスを理解するにはこんなサイトが良いカモ



自分なりの工夫や発見ができるように いろいろまとめてINDEX

この人たちはトランジスターの原理を理解してるとは思えないが別にイイのだ
鬼太郎